息抜きアンシエル vol.1 〜さらっと読めるコード・スケールの基礎理論〜
こんばんは。寒い夜ですね。
東京でも雪がちらつくなか、1日中家に引きこもって楽曲分析を進めていました。
コード進行を解説するために基本的な音楽理論をまとめていたら、メインの分析よりも幅を取ってしまいオーマイガー。
ということで今回は、楽曲分析に入る前に記事でよく出るであろう単語や理論を簡単にまとめていきたいと思います。
題して「さらっと読めるコード・スケールの基礎理論」
これを読めばきっと今後の分析記事が楽しくなることでしょう。
理論の導入部分を扱っているので完全に音楽理論初心者向けです。たぶん。
初級編:基本的な音の考え方
ここで扱うのは主に「調(キー)」「和音(コード)」「音階(スケール)」です。
単語は覚えなくても大丈夫ですが、概念として頭に入れておくと今後何かと便利なので、目を通していただけたら嬉しいです。
単音同士の関係性・和音
ピアノの鍵盤やギターのフレットなど、弾く位置によって音が決められている楽器では基本的に1オクターブ12音で構成されています。その中で主に軸となる8音の並びを音階(スケール)と言います。
▼スケール例(メジャー・C)
いわゆるドレミファソラシドですね。ピアノでいうところの白鍵です。
このスケールをピアノの鍵盤に直すと、白鍵どうしが隣り合っている場合(半音)と2つの白鍵の間に黒鍵が挟まっている場合(全音)で構成されているのがわかります。
ここでは半音を「短2度」全音を「長2度」と記載しますので、なんとなく頭に入れておきましょう。
▼短2度(半音)・長2度(全音)
長2度・短2度の関係性は、単音だけでなく2音以上の重なった音にも応用できます。
このブログでは、楽曲に使われている基本的なコードを「トライアド」という3つの和音で表します。
▼トライアド(メジャー・C)
トライアドとは、基準の音(ルート)・長3度(半音+4)にある音・完全5度(半音+7)にあたる音で構成される3つの和音のことです。
画像にある和音では、ルートが「ド」・長3度が「ミ」・完全5度が「ソ」になります。ルートにあたる音が今回のテーマである「コード」の調(キー)になります。
例にあげた和音はメジャー・トライアド(長三和音)と呼ばれ、このほかにマイナー・トライアド(短三和音)と呼ばれるルート・短3度(半音+3)・完全5度で構成される和音もあります。
ちなみに「メジャー」は長調、「マイナー」は短調と表すことができます。個人的に長調は明るい音色、短調は暗めの音色に聴こえる気がします。
コードネームの割り出し方
カラオケに行くとき、「キー」を変えたり原キーに設定したりしますよね。そのキーというのが、楽曲を構成するメインの音程になります。
先ほど説明したトライアドのルート(調)を基準に、上の2音を調べて調性(メジャーorマイナー)を割り出します。
調は「ラ」の音を基準にA〜Gのアルファベットで割り当てられているので、コード名は「(A〜G)+調性(M or m)」で表すことができます。(ここでは扱いませんが、和名で表すと「いろはにほへと」になります。)
▼メジャー・マイナー コード早見表
※「#」は半音上げ、「♭」は半音下げの記号として使っています。
上の図表(細かくてすみません)を見ると、#や♭の数(調号)が一緒なのに頭文字のアルファベットが違いますよね。
その意味を「G」と「Em」の関係性を例にあげて解説します。Gと同じ調号で短調に移行するときに、ルート音が「ソ」から「ミ」に下げられていますよね。この2音をピアノの鍵盤で表すと短3度分離れていることがわかります。
他の調も例外ではありません。「F」と「Dm」、「B」と「G#m」など全ての調において短3度の長短関係が成り立ちます。そのため、同じ調号でメジャーからマイナーに移行した際に”ルートから短3度下の調”を表すアルファベットを用いるのです。
この法則が頭に入れば、トライアドを見ただけで”何の調の長/短”かわかってくるはずです。これがわかれば譜読みが急激に早くなります(人によります)。
中級編:コードに深みをもたらす”絶妙な1音”
さて、コードの基礎的な部分はある程度理解できたかと思いますが、ここからは4音以上の和音から作られるちょっと変わったコードを紹介します。
今回扱うコードは、トライアドの上に1音乗せる「追加和音」と呼ばれるものです。
先ほど紹介したトライアドに1音足すだけでガラリと印象が変わるため、曲に深みを出したいときやサビ前の切り替え時などでよく使われています。
6th/7th・コード
数字の表記はそれぞれルートから何度上の音かを表していて、6thはルートの「長6度(半音+9)」・7thは「短7度(半音+10)」「長7度(半音+11)」の位置に付け加えます。
「C」のトライアドに乗せる音は、6thだと「ラ」7thだと「シ」になります。
▼「C」コードの6th・7th (C6/C7)
6thは完全5度の「ソ」と長2度の関係にあり、音が近いため少し濁った響きになります。7thは完全8度(1オクターブ上のルート)の少し下なので”未完成っぽい”響きを感じます。ラルクの楽曲にも、7thで終わらせる曲がいくつも存在しています。
6thも7thも完全8度の範囲内に置かれているため、音がギュッと詰まった感じに聴こえます。では1オクターブを超えた位置に音を乗せたらどうなるでしょうか?
アド(add)・9
こちらは完全8度のさらに上、長9度(半音+14)の位置に音を乗せるコードです。
「add」とは「additional(アディショナル)」の略で、その名の通り「付け加える」という意味が込められています。
6thや7thと違って完全8度を超えた位置に音を加えるため、トライアドにおける完全5度よりもかなり高い位置に1音加えるようなイメージを持つと良いかもしれません。
「C」のトライアドに乗せる音は、1オクターブ上の「レ」になります。
▼「C」コードのadd9
add9は完全8度よりも上の位置にあるため、完全5度である「ソ」の響きを邪魔することはありません。しかしルート音「ド」に関しては1オクターブ離れた先で長2度の関係になるため、「ド」に対して不協和音を起こす作用があります。
このコードはトライアドの上に1音乗せる「Cadd9」だけでなく、7thを含んだ上で長9度の音を加える「C9」など、完全8度を超える音ならではの応用方法があります。
6thや7thと並ぶくらいの便利屋さんなので、頭の片隅に留めておきましょう。
応用は楽曲分析で
今回は基礎的なコード・スケールの理論をまとめましたが、もちろん全て紹介できた訳ではありません。
例えばスケール。メジャースケールとマイナースケールで違いがありますが、ポピュラーの場合はクラシックよりもそこの境界線が緩く感じられたので今回は割愛しました。
また、トライアドにはメジャー・マイナーだけでなく三和音の中で音が上下するものもありますが、それらに関しては楽曲分析のときに見かけたら紹介します。
「sus4」というルートの4度上に音を置くコードもありますが、それも後々紹介しようかなと思っています。
理論を踏まえた上で曲を聴くと、ちょっとしたコード進行やイレギュラーにも敏感になります。
もしかしたら今まで持っていた楽曲イメージも少し変わるかも・・・?
知っていて損はしないので、興味のある方は音楽理論に触れてみると良いかもしれません。
参考書籍:『標準 ポピュラー音楽理論 改訂新版』